こんにちわ地球さん

どうにでもして〜!

川本真琴とセンチメンタル童貞おじさん

 

 

1.

The Complete Singles Collection 1996~2001

The Complete Singles Collection 1996~2001

 

 

川本真琴がここに来てワイドショーの芸能ネタになるという未来を、川本真琴ファンの誰が予想できただろうか。

それも相手が狩野英孝で、しかも三角関係で、その上三角関係の人物がフィフィ似のギャルという、どんな世界線だよという未来に僕らは今立っている。
さておき、川本真琴といえば僕である。僕界隈(3人ぐらい)ではそういうことになっている。話題は収束に向かっているようだが、この機会に僕は川本さんへの思いをまとめたい。かつて中学生のド童貞だった頃、僕のアイドルは川本さんだった。
「DNA」や「1/2」がヒットチャートに名を連ねていた当時、川本さんは22、3才で、まだまだ垢抜けない娘っこという風貌をしていた。ショートカットにTシャツ・ジーパン・スニーカーという格好と線の細さは、いわゆるボーイッシュと分類されるそれで、広末涼子の洗礼を受けていた僕は、川本さんを見るなり即刻買い注文に次ぐ買い注文、「スタ誕」でいうとスカウトの札がズバババーッ!と上がる勢いで食いついた。
何せアヒル口、アニメ声、不思議ちゃんなのである。オタクの童貞からするとメッシ、スアレスネイマールみたいなもので、「1つのチームに強いの固まりすぎ!」とアンガールズの田中みたいに人差し指立てて嬉しそうに抗議しながら、簡単に1点を献上したのだった。
それから聞くに堪えない話だが、僕は胸が薄いところも好きだった。おっぱいには当時、というか童貞の頃はあまり興味が持てなかった。むしろ恐怖心を持っていた。おっぱいは武器だからだ。丸腰の粗チンクソ童貞など相手にされるわけもない、と考えていた僕は、信仰の対象を貧乳に絞っていた。貧乳なら向こうも後ろめたかろう、僕ばかりがみじめに思うことはなかろう、と考えていたのである。コンプレックス抱えた者同士で傷の舐め合いをしたい、というか舐め合いがしたい!と、歪んだリビドーを増長させていたのが童貞の頃だった。
 

2.

 

愛の才能

愛の才能

 

 

そんな風に完全にビジュアル目的で川本さんを追っていたが、初めて知ったきっかけはラジオだった。岡村靖幸プロデュースの注目の新人だと紹介されていた。デビューの年なので96年である。この時ラジオで「『愛の才能』『川本真琴』って曲名も歌手名も韻を踏んでて面白いですねえ」なんて言ってて、それが妙に頭に残った。

あの娘にばれずに彼にもばれずにkissしようよ
イケナイことでも経験したいの体で悟りたい
歌詞がエロかったのもリアル中2の自分に刺さったのかもしれない。それと「成長しないって約束じゃん」から始まる、大人になることへの嫌悪も、もしかすると共感していたのかも。今だからそんな風にも思えるが、山形のイカ童貞はとにかく「嘘だべ、なしてこだいも可愛いのや」とブラウン管を舐めるように見るばかりであった。
その後は人気絶頂のとんねるずが川本さんのPVのパロディコントをやったりして、完全にメジャーアーティストとしての地位を確立させていった。僕はビデオクリップ集「忘れそうだった」とか、「早退」ツアーの写真集「×2」なんかを買ったりしていた。音源は持っていなかった。
 

3.

 

桜

 

 

僕の感覚では、お茶の間に周知されている曲は98年の4枚目「桜」までで、その1年後に出た「ピカピカ」は覚えてる人もいるかもね、ぐらい。この「ピカピカ」の時の髪型がまたエライ可愛いんだけど、まあいいや。その後は「微熱」「FRAGILE 」「ギミーシェルター」と続いて、一枚ごとにアーティスト色が強まるともに、取り上げられ方が小さくなっていく。ちなみに「ギミーシェルター」のカップリングはEYヨのリミックス。この時には川本さんは金髪になっていた。

ギミーシェルター」が出た01年の同じ日に、待望のセカンドアルバム「gobbledygook(ゴブルディグーク)」が登場。これがまたいいアルバムで、音色豊かで切ない世界観がグッとくる、もっと評価されたらいい一枚だと思ってたりする。
01年の春、僕は大学進学のために上京した。同年冬、川本さんは自身3年ぶりのツアーを開催。「時は来た!」とばかりに僕は喜び勇んでチケットを購入した。今はなき雑誌のぴあを見てチケットを購入、これまた今はなき渋谷AXが会場だった。もちろん1人である。
会場に着いてみると、オタクくさい男の客が多くて悲しくなったのを覚えている。自分がその状況に加担しているなどとは、もちろん自覚していない。この時川本さんは白いミニのネグリジェ風のワンピースを着ていて、タイツは履いてるんだけど、前の人にはスカートの中が見えてるんじゃないのかという場面があったりして、それに時々憤りながらライブを見ていた。このライブの模様は後にソフト化された。
歌手に対して失礼な言い方になるけど、川本さんは生歌でもめちゃくちゃ上手い。この「やきそばパン」とか高速でまくしたてる曲なのに音程外さないし声量あるし、かつ発音がクリアだ。それがプロなんだと思うけど、ラッパーだってライブだと聞き取れない人は少なくないのに、さすが俺たちの川本さんなのである。
このライブの後に僕は長髪にして、金髪を意識して髪の色を明るくした。ははは(誘い笑い)。
 

4.

その後、02年に事務所を離れた川本さんは活動の場をインディーに移し、数年間は動きが目立たなくなる。気まぐれ的にユニットで曲を出したりしていたが、僕は特に興味を持てず。でも聞いたことのない雑誌にグラビアとインタビューが載ってると知った時は、書店をはしごして探したりしていた。つくづくだ。しかしこの後ぐらいから、僕の川本真琴熱は落ち着いていった。そして童貞でなくなった。
07年に当時フィーバーしていた中川翔子が「1/2」をカバーし、川本さんへのリスペクトを語っていた。久々に川本真琴という名前が世間で取り上げられた出来事だった気がする。10年を過ぎたぐらいから活動が活発になり、神聖かまってちゃん大森靖子といった気鋭の人たちと組むことも増え、地上波のテレビに13年ぶりに出演するということがYahoo!ニュースのトップになったりした。

5.

で、プライベートの恋愛沙汰が世間の話題になる16年。やってくれる、さすが俺たちの川本さんである。川本さんが発したイタいツイートも「さすが」としか思わない。僕からするとそのイタさは川本真琴というアーティストの純度の高さで、それこそが彼女の魅力の要素だからだ。そんなものはとうの昔から、楽曲からも言動からもバッチリ匂っている。その不安になる感じがたまらないのである。ただ、相手が狩野英孝だという展開には本当、笑った。なぜ。狩野英孝も天才気質だし、お笑い芸人からも変人視されるぐらい破天荒らしいので、二人の日常はさぞかしハプニングに満ちた日々なんだろうなと思った。最終的にはハプニングで済まない事態を引き起こすわけだけど。

そんな川本さんの新曲が「ホラーすぎる彼女です」。自分でネタにできるぐらいの余裕があるようで、安心しました(制作は5ヶ月前からしてるそうなので、曲名を急遽騒動に寄せたのではと思われる)。活動20周年ということもあり、これを機にまた川本さんの曲を聴き返してみようと思います。純粋に曲を楽しむために。おわり。

ホラーすぎる彼女です c/w クローバーフィールド [Analog]

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